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カスタマーサクセス大解剖(中編)

皆さま、こんにちは!テックタッチのCX(Customer Experience)チーム責任者の滝沢優と申します。社内ではtakkyと呼ばれています。

だいぶ日が空いてしまいましたが、前編で、ここ10年で注目が集まっているカスタマーサクセス(以下、CS)について、仕事内容や課題、カスタマージャーニーを踏まえて新たな施策をどのように進めて行くかについて、私の考えを書きました。

私が勉強し、経験してきた学びを元にしながら、CSを進化させるための手法をさらっとおさらいしつつ、自社に合った施策をどのように検討し、設計を進めていくかについて、このnoteで詳しく説明します。

※テックタッチのCXチーム紹介はこちらのnoteをご参考ください!テックタッチ社で、CS for CSやりたい!という方、是非お声がけください!お待ちしています!


1. CS組織を強くするための体制づくりと必ず考えるべきポイント

既にご存知の方が多いと思いますが、CS活動の施策は「ハイタッチ」「ロータッチ」「テックタッチ」の3種類に分類され、具体的には以下のような施策があります。

もちろん、ハイタッチはお客様一人ひとりに向き合うことができますし、直接ペインやゲインを知ることができるため、サービスリリース後はまずはここからスタートする企業が多いと思います。一方、当然その分工数もかかります。
そこで、ロータッチやテックタッチの施策と組み合わせながら、顧客、そして自社にとって最適な手法を取り入れていくことが重要です。では、どのようにそれらのベストミックスを考えるのが良いのでしょうか?

案件の重要度に合わせてタッチモデルを選定する

一つの解は、案件の重要度(下図では横軸)毎にメインのタッチモデルを選定していくことと言えます。なお、組み合わせが大事なので、あくまで「メイン」を判別するイメージです。

当たり前の話ですが、重要度は主に顧客単価に比例し、重要な案件はハイタッチ、となります。
なお、重要度は基本は単価に比例しますが、そうでない場合もあります。例えば、「このお客様は、今後戦略的に取引を大きくしていきたいので、いまは価格が低いけれども重要だ」(=右下)、などのケースです。

自社の1プロダクトのCS活動で、3モデル全てを組み合わせるケースもあれば、2種類くらいで運用することもあるかもしれませんが、あくまでケースバイケースなので、客観目線を持ちつつ自社にコンサルティングする気持ちで最適解を探して行くべきと考えます。

その時に参考にすべき指標はいくつかありますが、自社にどのタッチモデルが有効か、シンプルに考えることができるのが、下図の「CSMひとり当たりの理想の担当顧客数」です。

ひとり当たり1億円のARRを担当すべき、という目標に対し、案件単価で割り算すれば目標対応可能社数を算定できます。
それが20社であれば、対応可能性と、一件当たりのインパクトの大きさから、ハイタッチモデルが良いと考えられますし、1,000社であればさすがに担当をつける可能性はきわめて厳しくなるため、テックタッチモデルが理想と言えると思います。

さて、ここまでは概念としてどのように顧客への対応を考えていくか、でしたが、実際の「チャネル」も考えていきたいと思います。
チャネルでは、すぐに「メーリスがよい」とか、「マニュアルが重要だ」という具体に飛びつく前に、一歩引いて「どんな特徴があるチャネルを選択すべきか」、を考えてみるのが良いと思います。

チャネルごとのコミュニケーション方法を設計する

下図は、「顧客との接点」を軸に、チャネルの種類を3つに分けたものです。必ずしも、ハイタッチだからこれ!という施策はなく、その性質を見ながら使い分けていきます。ここでは詳細は割愛しますが、Pros(長所)とCons(短所)をまとめた表です。

結局、提供者目線でどれがいいかを考えても、受け取る側の負荷やハードルを考えないと、「やれどもやれども成果がでない」となり、疲弊します。そのため、その施策はどのように届くのかを考えながら、リソースとインパクトを天秤にかけていくのが重要です。
よく「マニュアルを読んでもらえない…」という声はSaaS業界内外で耳にしますが、それは「マニュアルを開く、該当箇所を探す、読む」という3つの負荷をユーザーに強いているために読んでくれる確率は下がり、冒頭の声に繋がることになります。

かくいう私も、説明書を読む前に取り組んでみるタイプ(そして時々、取り返せない失敗をしてしまうタイプ)なので、気持ちはよくわかります。

ちなみに、テックタッチ社では全顧客に対してハイタッチなCS活動を行っています。単純な「担当者がつく」というレベルのハイタッチではなく、個社別に個別のコンサルティングを行っている感覚に近いです。(なので元コンサルが活躍していますし、元コンサルではないメンバーもプロマネ力を日々勉強中です!)
各社ビジネスモデルも、プロダクトも、そもそも業界も異なる中で、共通点は「お客様に価値を提供してもらいたい」という点くらいのため、日々試行錯誤しつつも全力で向き合っています。

もちろん、ハイタッチとはいえ、自社のシステム活用支援プラットフォーム「テックタッチ」を使いながら自社の活動も一部デジタルチャネルを用いています。

そして、お客様のCS活動も、ハイタッチ、ロータッチ、テックタッチ、それぞれどれがメインか、各社異なるため、弊社の「テックタッチ」のソリューションも少しずつ異なるご案内をし、各タッチモデルの共存をおすすめしています。

そこで、テックタッチ施策とハイタッチ施策の両立をいかに行うかについての事例として、私たちが提供するデジタルアダプションプラットフォーム(DAP)「テックタッチ」の活用方法を紹介します。

「テックタッチ」はシステム上にノーコードでガイドやナビゲーションを表示できるツール


2.「テックタッチくん」をCSチームの一員に

改めて、テックタッチ社ではお客様に対し、ハイタッチのCSをご提供しています。ユーザー企業は、利用者の自己解決率の向上や、自社CSへの問い合わせ対応効率化、UI/UXの開発スピードなどに課題を感じているSaaS企業や顧客向けシステムを開発・提供している会社さんが多いです。

ユーザー企業のサービス特性や事業戦略によって、「成功」とみなされるポイントや価値を感じていただける部分は異なります。そのため、テックタッチのCSにはそれぞれのお客様の課題感を聞きながら、それぞれの処方箋をつくる、コンサルに近い形の価値提供が求められています。

「画面上でなんでもできる」ことは大きなメリットである一方、エンジニア、CS、PdMなど、サービスに関わる関係者も多いので、みんなの最大公約数を取るとサプライヤ目線になり、「これ、誰がいつ使うガイドなんだっけ?」というナビゲーションが作られてしまうこともあります。
どのペルソナの、何のペインに対して、何を作るのか、その全体設計は?というところが整理されていないと、逆に使いにくくなってしまう恐れがあります。

そこで、テックタッチ社のCSがハイタッチのコンサルティング支援に入ります。そこで課題の整理から、作成全体像の立案を行いながら、どんなUXを実現すべきか、一緒に考えます。それにより、テックタッチ社としてもしっかり価値を出し、使い続けていただけるようになります。CS活動そのものの見直しを提言することもよくあります。
結局、「テックタッチ」を使う、というのは、画面上で全員に届くタッチモデルの一つにすぎません。導入いただいた後、成果を最大化するには、オペレーションの変革もご提案しつつ一緒に同じ方向を向いて頑張っていきます。

テックタッチってなにができるの?、をわかりやすく言うと「CSチームの一員としてテックタッチくんが活躍します」というイメージです。
例えば今までお客様とzoomで画面共有をしてオンボーディングをしていたとします。勤務時間の大半を占めていた操作の説明やご案内をテックタッチくんに任せ、操作、登録系のオンボーディングはユーザーが自己解決できるようにして、自分は空いた時間を、応用的活用の議論などに回すことができます。

不明点が生じたユーザーに対して、「電話、チャット窓口を探す」よりも先に「解決策のガイド」を見つけてもらうことができるため、問い合わせをする必要も、受ける必要もなくなります。

24時間働くテックタッチくんを使い倒していただきつつ、人間とテックタッチで役割分担をしていく、とイメージいただくとわかりやすいかもしれません。。

データに基づいてユーザーを理解する

さらに、テックタッチくんを使うメリットはそれだけではありません。ユーザーがどこでつまづいているのか、どんな機能を使ってくれているのか、などの顧客行動を見える化できるのです。そうすることで、今までの「来たものをさばく」状態から、「お客様の行動を見ながらアクティブに動ける」状態に変わっていき、幅が広がっていきます。開発側にも、「顧客がこの機能のここでつまづいているので変えてほしい」というような地に足の着いた依頼や議論ができるようになります。
データに基づいて、優先すべき改善施策を特定できれば、結果として自転車操業のようになりがちなCS活動から脱することができる、と言えるのではないでしょうか。

CSの皆さんはとてもホスピタリティが高いと感じます。例えば、帰り際にお客様から問い合わせが来ると、例えばもう就業時間を過ぎていたとしても、お客様が困っているからいま対応しよう…と思う方が多いと思います。それが継続すると、CS担当者は疲弊していってしまうかもしれません。一方、テックタッチくんなら24時間働いてくれます。
「簡単なことは誰かにやってほしい」と考えている方にとって、テックタッチくんは優秀なチームメイトになってくれる可能性があり、「次は何をやろうか」といったプロダクティブな活動を考える仕組みを作ることにつながるのです。

この先は後編にて、カスタマーサクセスツールの活用方法についてご紹介します。