【パートナー企業インタビュー#1】 ユーザビリティを徹底的に追及する。ユーザーに選ばれ続けるために、必要なマインドと仕組み化とは
こんにちは!
テックタッチ広報担当です。
今回は、日本企業が実施する代表的なDX施策といえる電子契約において、国内トップシェアを誇る「クラウドサイン」事業を牽引する弁護士ドットコム株式会社(以下、弁護士ドットコム)の取締役・橘大地氏に、テックタッチとクラウドサインの事業連携をサービス化した「テックタッチ for クラウドサイン」開始の経緯について、代表の井無田がインタビューしました。
―――橘さんは、サービス提供開始から数年で、日本に電子契約を根付かせ、「クラウドサイン」を国内トップシェアのサービスに成長させていますね。弁護士ドットコムに入社された2015年10月は、クラウドサイン事業が始まったのとほぼ同時期です。
橘氏:はい。事業が立ち上がったばかりで、スタートアップのような環境でした。前職までは弁護士だったので、営業もマーケティングも製品開発も初めての経験で、試行錯誤の連続でした。それでも責任者として次々と意思決定を下す必要があり、司法試験の勉強をしていた時と同じくらい、毎日必死に働きました。
―――私たちも今まさに、システム活用をアシストする「デジタルアダプションプラットフォーム(DAP)」という新領域のサービスを立ち上げて伸ばしているところです。これまでにない概念を文化として根付かせるのは並大抵の苦労ではないと思いますが、橘さんのそのモチベーションはどこから来るのですか。
橘氏:父も兄も法律家で、司法試験の受験は当然の流れでした。ただ、実際に働くとなった時に、どうせやるなら、自分にしかできないことをやり遂げたいと思ったんですよね。契約の習慣を変える、って面白いチャレンジじゃないですか。
―――大変さより、ユニークさとチャレンジングかどうか、が重要なんですね。「クラウドサイン」が、「判子文化という日本の古い慣習を崩す」ことを理念に掲げ、かつ先行していた電子契約サービスをおさえて国内トップシェアを確立されるまでに、一番大変だったことを教えてください。
橘氏:2001年に施行された電子署名法によって、電子署名が手書きの署名や押印と同等に通用する法的基盤が整備されました。
それを皮切りに、各企業が電子契約サービスをリリースしていて、我々は最後発のサービスでした。当時の法律に則ると電子契約でも大変な手続きが必要になり、使いにくかったんです。これではユーザーはついてこないと思い、私たちは法律に敢えて準拠しない、ユーザーファーストのサービスをローンチしました。
「ユーザーに選ばれるものが、その時代で一番求められるものだ」という信念で、ユーザーベネフィットを優先しました。この考え方は今でも変わっていません。
その後2020年に、内閣府、法務省、経済産業省連名で「押印しなくても契約の効力に影響は生じない」と明記された通知が出ました。つまり、クラウドサインが法律に準拠していることが官公庁に認められたのです。これによってクラウドサインを、より安心して利用いただけるようになったのです。
―――すごい、ユーザーの支持が、社会を変える動きに繋がったのですね。
自社サービスの事業成長のキーファクターを後進スタートアップ企業に自ら提供することで、事業成長を後押ししたい
―――御社はパートナーシップにも力を入れられています。これまでの取り組みや、力を入れておられる理由を教えてください。
橘氏:弊社が取ってきたパートナーシップの形態には2つあると捉えていて、1つ目は、既存のプラットフォームの力を自身の事業成長につなげるパートナーシップです。これまで私たちは、「クラウドサイン for Salesforce」や「クラウドサイン MAKE」をはじめとして、自分たち以前にすでに成熟しているプラットフォームやエコシステムの力を借りて成長させていただきました。
2つ目は、今回のテックタッチとの取り組みのような、私たちのサービスを通じて他のSaaS製品のポテンシャルの底上げをするためのパートナーシップです。先述の通り、自分たちが他プラットフォームの力を借りて事業成長を遂げた背景があるので、同じようなスタートアップの成長に貢献できたらという思いから、3月には御社と提携して「テックタッチ for クラウドサイン」をリリースしました。
―――私たちのサービスを紹介した際、「面白いから一緒にやろうよ」とあっという間に意思決定をしていただきましたよね。
橘氏:はい。「クラウドサイン」上での電子契約の操作画面で疑問点が生じやすい部分にあらかじめ「テックタッチ」のナビゲーションを設置することで、よりクラウドサインユーザーの負担軽減につながると考えました。
そしてシステム操作に慣れていないユーザーであっても、画面に表示される案内を見ながら操作を進めることができるため、教育にかかるコストを削減することにも繋がります。またシステム操作に慣れたユーザー向けにも、入力ミスが起こりやすい箇所や入力データの品質に差が出やすい箇所に案内を表示することで、入力データの質を高めることができます。
どこでつまずいているかも可視化されるため、企業における契約の電子化において求められていることが、より明らかになると想定しています。
―――システム活用の文脈で、ユーザーの方の使いやすさを追及している会社として、「ユーザーファースト」と連携に値するものと評価していただいたのは、非常に光栄です。
SaaS製品でありつつ、SaaS製品の利用企業に寄り添うサービス
―――私たちテックタッチの価値は、橘さんから見てどこにあると思いますか。
橘氏:特定の業種・業界に特化したバーティカルSaaSはまだ白地が大きい一方で、業種を問わないホリゾンタルSaaSとして汎用的な製品作りをされているテックタッチは、様々なSaaSのユーザビリティを向上できる、可能性のあるサービスだと思っています。
どんなITシステムやアプリケーションも、お客様から使い勝手に関する声や要望は届き続けます。一方、システム提供者目線で考えると、事業成長を実現するためには機能開発が先行し、既存機能のユーザビリティ向上のための開発投資の優先度は下がりがちです。
このユーザーと提供者の溝を埋めるテックタッチというソリューションは、ユーザーと提供企業を繋ぐラストワンマイル製品であるという部分に、期待を持ってています。
―――ありがとうございます。いかにユーザーにとって使いやすいようにサービス品質を上げていくかが、永遠の課題です。
橘氏:「個社の使い方に合わせて案内表示をカスタマイズすることができ、入力ミスの削減・社内ルールの徹底を支援するという発想は、ありそうでなかった。他のSaaS企業も、「テックタッチ」を利用することで、ユーザーに真の意味で活用される仕組みを作れるといいですよね。
クラウドサインを国民的インフラへ、さらには海外展開を
―――ありがとうございます。最後に、橘さんが成し遂げたいことを教えてください。
橘氏:2030年までに、「クラウドサイン」を1億2000万人の全国民が当たり前に利用する国民的製品にして、契約にまつわる不便をなくし、社会インフラにしたいと思っています。単なる電子契約サービスではなく、契約の締結から管理までデジタルで完結させる契約マネジメントプラットフォームへの進化を目指しています。
現状では中小企業への導入事例がかなり増えつつはありますが、結局、契約締結先の大企業や官公庁側がクラウドサインに適応しておらず使えないというケースもいくつか存在します。そのためにも、大企業及び行政機関・地方自治体への導入がまずは必須と考えています。
また、前職で法律事務所に勤務していた時に、シンガポールに一時居住して仕事をしていたので、個人としても海外へのチャレンジに興味があります。
私たちが手がけているSaaSの領域は、1企業が20〜30個のSaaSを導入するようになってきていることもあり、単一製品だと難しい戦い方になってきているので、複数製品のポートフォリオは必要ですし、ユーザーメリットは高いので、その辺りをきちんと設計すべきだとは思いますし、若いスタートアップ企業の躍進に期待もしています。
我々のような国産SaaSの海外展開事例はまだまだ少ないので、我々も視座を高く持って邁進したいと思います。本日はありがとうございました!
弁護士ドットコムの橘さま、ご協力ありがとうございました!
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